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IDEC VOICE IDEC:International Development and Cooperation Professor interview 大学院国際協力研究科 教授インタビュー

研究概要

後藤先生の現在の専門分野は、「応用ミクロ経済学」である。先生の研究はゲーム理論を用いた応用ミクロ経済理論を基礎とするが、現在は理論研究の枠を越え、フィールド実験に基づいた個人や家計の行動分析や、政策やプログラムの影響評価を行う「実験経済学」まで広がっている。研究の対象地域は開発途上国であり、主に環境問題や貧困問題について取り組んでいる。最近実施した研究では、ベトナムの茶生産農家を対象として、環境負荷の小さい有機肥料の導入を促すための効果的なプログラム介入を明らかにした。今後は環境問題に加えて、途上国の農村家計を対象とした健康保険や災害保険の加入促進に対する効果的な施策についての研究も実施していく予定である。このように先生の研究は、途上国の持続的な開発と国民の健全な生活に貢献する大きな可能性を秘めている。

自ら敷設した人生のレール

「世間の価値観だけに従って選んだ道は、自分の目指すゴールには続いていないかもしれない。」私は、この言葉がインタビューの中で最も印象に残っている。
先生は、自分のやりたいことを実現するために、今の環境が本当に自分にとって最適なのかについて自問自答を重ね、これまで5つの大学・大学院を経て博士号を取得している。最初の大学や大学院を1年で中退したり、修士から博士課程に進む際に別の大学に進学したり、先生は常に自らの気持ちに素直に従ってきた。時間は要したが、歪みのない真っすぐなレールを自ら敷設し歩んできたからこそ、現状を自分自身の選択や行動の結果として受け入れ、さらなる自己研鑽を目指すことができていると先生は語る。
このような先生の生き方は、後述する先生の教育方針にも貫かれている。

「手塩」教育

研究室に求める学生像とは何かについて先生に尋ねてみた。答えは、「やる気を持っている人!」であった。ただそれだけで良いのである。全ては学生次第であり、やる気がある学生に対しては最大限のサポートと投資を行う。手塩にかけて学生を育成するスタイルを先生は貫いている。一方で、先生が無理やりゴールや目標を決めさせるようなことは一切しない。先生自身が自らの道を自分で切り拓いてきたからこそ、学生が自ら道を作り目標を達成できる環境が先生の研究室にはある。

風通しの良さ

先生は、開発政策コースの風通しの良さが自慢であるそうだ。開発政策コースの研究室はIDEC最上階の8階に位置しているため、はじめは物理的な風通しの良さのことを話しているのかと思ったが、話を聞くと組織内の風通しの良さのことであった。もちろん、先生の研究室からは東広島の自然溢れる南側を一望でき、澄んだ風が何にも妨げられずにIDEC8階へと吹き抜けているため、前者の意味も含んではいるが。話は戻って、組織の風通しの良さについてだが、開発政策コースの先生方は毎日ランチ会と称して、昼休みになると集まって談笑をしているらしい。このように、上下関係がフラットな環境が先生にとっても学生にとっても過ごしやすい、「柔らかい」組織の雰囲気を創り出している。

本研究室を目指す学生へのメッセージ

最後に、先生の研究室を目指す学生に向けて、次のようなメッセージを送ってくれた。 「研究室選びで一番大事な要素は先生ではなく仲間です。もちろん、素晴らしい先生の下には優秀な学生が集まるし、質の高い研究ができますが。ただし、集団の雰囲気は実際に見てみないとわかりません。研究室を選ぶ前に、一度訪れて雰囲気を確かめることをお勧めします!」

後藤 大策 准教授

ゴトウ ダイサク

開発政策コース 准教授